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キミは掃除だけしておけ

 

がんばれ現場監督       ~キミは掃除だけしておけ~

 

彼は、現場監督です。

カッコいい建物をつくることを夢見て建設会社に入社しました。

 

でも、配属された最初の現場で所長から言われたことは

 

「キミは掃除をしておけ

 

でした。

 

その現場は250戸もある超大型マンション。

そこで各戸を掃除してもキリがないように思えました。

 

彼は

「俺は、掃除するためにこの会社に入ったんじゃねえし。

こんな会社辞めてやる!」

と思いながら掃除していました。

 

でも、あるとき気づきました。

「自分が掃除した部屋は後からくる職人さんもキレイな仕事をしてくれる。

自分が掃除していない部屋は、雑然としていて、なんだか職人さんの仕事も

雑に感じる」と。

 

彼はいいます。

 

「掃除にも意味がある」

 

と。

彼の目には、きれいに仕上がった完成した部屋が見えたのかもしれません。

それからは彼のホウキを持つ手にも力が入るようになりました。

 

やがて職人さんたちからよく声を掛けられるようになりました。

「いつもありがとうね、俺たちも気持ちよく仕事ができるよ」

監督さん、あんたの頼みだったらなんでも聞いちゃうよ~」などなど。

 

職人さんたちは、見ていないようでも彼が頑張る姿を見ていたのです。

 

場を清めると空気が変わります。

 

彼は「そうじ」という行為だけで、職人さんたちの心をつかんだのです。